カラヤンが最晩年に自らの人生を振り返るように描き上げた、豪壮華麗な「英雄の生涯」
最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現されました。
録音が行われたのはベルリン・フィルの本拠地であるフィルハーモニーで、ドライで引き締まったオーケストラのサウンドが左右に大きく広がるのはこのホールでのカラヤンの録音の通例です。このシュトラウスの2曲では、奥行きの深さよりも、オーケストラの各パートの明晰さを優先している趣があり、音楽の主要パートを映像できっちりと捉えてゆくカラヤンの映像演出の意図を組んでのゆえか、木管や金管のソロが明確にピックアップされてミキシングされているのが印象に残ります(とはいえ、「英雄の妻」の最後の部分でのオフステージのトランペットの距離感は見事に捉えられています)。表現力豊かで分厚い弦楽パートを土台に、木管パートの表情の多彩さや緻密な名人芸を乗せ、さらに豪壮な金管の響きを据えられたサウンドは、まさにカラヤン・サウンドの一つの典型であり、究極の完成形といえましょう。
初出時からCDとLPがほぼ同時に発売され、さらにOriginal Image Bit Processingでのリミックスによる再発売もされていますが、今回は初めてのDSDリマスタリングとなります。今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまで同様、使用するマスターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたESOTERICの最高級機材を投入、またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。
[収録曲]
リヒャルト・シュトラウス
交響詩《英雄の生涯》 作品40
―大管弦楽のための交響詩―
1. 英雄
2. 英雄の敵
3. 英雄の妻
4. 英雄の戦場
5. 英雄の業績
6. 英雄の引退と完成
7. 交響詩《死と浄化》 作品24
―大管弦楽のための交響詩―
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
レーベル::DEUTSCHE GRAMMOPHON