1984年、ポリドールからトーラス・レコードへ移籍したテレサは、荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲による「つぐない」で日本再デビューを果たし、ミリオンセラーを記録。大ヒットとなった「つぐない」をアルバムタイトルに掲げ同年LP盤をリリースしました。
2022年、ステレオサウンド社からお届けするこの最新復刻盤は、本格オーディオ愛好家の皆さまに向け、初版の制作当時に使用されたオリジナルのマスターテープから最新のラッカー原盤をカッティングしプレスしています。
カッティングにあたっては、今回も日本コロムビアスタジオの名エンジニア、武沢茂が腕を奮いました。スチューダーA80テープレコーダー、ノイマンVMS70+SX74カッティングマシンといった使用機材も既におなじみの名機揃いです。
マスターテープに収められた全12曲のうち、テレサ自身の持ち歌はタイトル曲「つぐない」をはじめとする7曲。「北国の春(千昌夫)」ほかのカバーソングが5 曲。持ち歌の7曲はすべてトーラス・レコードでの新録音。ポリドール時代にテレサの人気を決定づけた1974年の「空港」、および「雪化粧」の2曲も新たに録り直されています。
テレサは終生、レコーディングに際して自身のヴォーカルパートをアナログ録音で通しました。自分の歌唱に関するかぎり、デジタル録音は行なっておらず、そのうえヴォーカルパートの切り貼りテープ編集もしていません。吹き込みの途中で不都合を生じれば、最初から歌いなおすというスタイルでした。バック演奏との同時録音まではしませんでしたが、自分の声に関してはさながら一括ダイレクトカッティングのように厳しいスタンスを貫き、アナログ記録一発勝負の緊張感を最大限みずからの芸に生かそうと努めました。
今回の「つぐない」最新復刻盤の製作には、1984年製オリジナル・マスターテープに秘められたテレサのアナログ録音の底力を掘り起こそうといった想いが込められています。アジアの歌姫テレサが奏でる愛のつぐないをご愛聴頂ければ幸いです。