ジャズ・ヴォーカル界のクイーン、ダイアナ・クラールの3年ぶりの新作は極上のスタンダード・ヴォーカル作品が180g重量盤2LPでリリース。彼女の才能を見出した故トミー・リピューマとの最後の録音を収録。
これまで、スタジオで行ってきたレコーディングの中で、ダイアナ本人が特に「アウト・テイクには程遠くて、放置するにはもったいない」と感じていた2016年から数年間のレコーディングを振り返り、録り溜めてきた未公開音源をまとめ上げた作品。彼女の才能を見出した故トミー・リピューマとの最後の録音を収録。
2016年からの数年間、ダイアナ・クラールにとって特別な年月だった。アルバム『ターン・アップ・ザ・クワイエット』やトニー・ベネットとのコラボ・アルバム『ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ』を録音し、世界各地をツアーで飛び回ったが、それでも彼女のクリエイティヴィティは満たされることはなく、時間を見つけては、名匠トミー・リピューマと新たなレコーディングを繰り返した。しかし、そんな矢先、リピューマが2017年に享年80歳で他界。旧知の制作パートナーを失い、一度は音源に蓋をするも、リビューマがプロデュースを手掛けた最後の録音であり、彼が最も気に入っていたという「バット・ビューティフル」を軸にアルバム制作を決意。『ターン・アップ・ザ・クワイエット』を表だとすると、これは裏の作品。多忙を極めた彼女をこっそり別の角度から捉えた、リピューマとの思い出の未公開音源集。
本アルバムにはジョン・クレイトン、ジェフ・ハミルトン、アンソニー・ウィルソンとのカルテットで収録された“Almost Like Being in Love”や“That’s All”、クリスチャン・マクブライド、ラッセル・マローンとのトリオでの“Autumn In New York”、“There’s No You”、またクラールとベーシストのジョン・クレイトンによる “I Wished On The Moon ”、ピアニストのアラン・ブロードベントによる “More Than You Know”と “Don’t Smoke In Bed”などのデュオなどさまざまなセッションを収録。ブロードベントは、“But Beautiful”でストリングスのオーケストレーション、“Autumn In New York”でもストリングスのアレンジも担当。さらに、このアルバムのため最後のセッションはキャピトル・スタジオで行われ、ギタリストのMarc Ribot、フィドルのStuart Duncan、リズム・セクションのTony Garnier(b)とKarriem Riggins(ds)によるアンサンブルで行われました。このラインナップでは、Irving Berlinの“Just You, Just Me””、“How Deep Is The Ocean”、Randall Krallがアコーディオンを弾いているボブ・ディランの“This Dream Of You”を演奏。
本作を制作するにあたりアル・シュミットがレコーディング・エンジニアを担当。ダイアナ本人は、彼女の思いが少しでも聴き手に届くよう、「すぐそばで聴こえる声」の演出にこだわった作品です。
収録曲
[LP 1]
Side A
1.バット・ビューティフル / But Beautiful
2.ザッツ・オール / That’s All / Azure-Te
3.ニューヨークの秋 / Autumn In New York
Side B
1.オールモスト・ライク・ビーイング・イン・ラヴ / Almost Like Being In Love
2.モア・ザン・ユー・ノウ / More Than You Know
3.ジャスト・ユー・ジャスト・ミー / Just You, Just Me
4.ゼアズ・ノー・ユー / There’s No You
[LP 2]
Side A
1.ドント・スモーク・イン・ベッド / Don’t Smoke In Bed
2.ディス・ドリーム・オブ・ユー / This Dream Of You
Side B
1.月に願いを / I Wished On The Moon
2.ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン / How Deep Is The Ocean
3.雨に唄えば / Singing In The Rain