ステレオサウンドは谷村新司デビュー50年を祝うアナログレコード「谷村新司Ⅲ」を発売する。
このレコードは、人々の心に刻み込まれてきた谷村新司の往年の名曲を、新たに録音した楽曲によって構成。使用する音源は、谷村新司が2017年に発売したCDアルバム「STANDARD~呼吸(いき)~」のオリジナル・マスターから厳選したもので、今回、初めてアナログカッティングに供される特別な音源だ。
素材となったオリジナル・マスターは、東京・西麻布にあるミキサーズラボのLAB recorder’s Aスタジオで収録されたもので、当時レコーディングを務めたのはミキサーズラボの代表でもあり、谷村新司が絶大な信頼を寄せる三浦エンジニア。
ヴォーカルマイクは、ノイマンU-67を使用。三浦エンジニアによると「谷村さんはマイクロフォンの扱いに長けていて、声量によって自身でマイクとの距離をコントロールするため、フェーダーの位置も一度決めればそれほど動かさないし、それほどEQやコンプレッサーを使う必要もないんです」という。それだけにこのレコードに供されたオリジナル・マスターの音はひじょうに生々しい。
レコーディングでは、SSLのアナログコンソールを使用し、A/D変換はデジデザインのプロツールスによって敢えて96kHz/32ビットでミックスダウン収録したという。192kHz/32ビットだとパワー感が削がれるからというのが三浦エンジニアの理由だ。
そうした録音の旨味を全て引き出すために、マスタリングとラッカー盤のカッティングは同じくミキサーズラボの傘下にある南青山のワーナーミュージック・マスタリングでおこなった。マスタリングはミキサーズラボの副会長を務める名エンジニアの菊地 功、ラッカー盤のカッティングはこの世界に精通した北村勝敏が担当している。
バックのオーケストレーションとの重層的な音の広がりの中に谷村のボーカルが生々しいまでに浮かぶ。
CDでは味わうことの出来ないLPレコードならではの奥深い音の世界を心ゆくまでお楽しみいただきたい。