Audiolab Used Restore

 

今日はすでに2009年7月なのですが、昨年作業した『JBL L77』のレストアの記録をようやくアップします。ホント申し訳ございません。こちらの『JBL L77』は2008年のハイエンドショウトウキョウにスピーカーサービスの展示品として持っていこう!!と思いまして、作業を開始することにしました。昨年の『JBL L75 Minuet』につづき、ウーハー+ドロンコーンのモデルです。なんともかわいらしいスピーカーですね。ごゆっくりご覧ください。

 
 

 

1作業前外観『JBL L77』

1.作業前です。暗い場所、という理由もありますが、ずいぶんみすぼらしいです。

2.全体的に色アセがあります。かなり古いモデルですし、、、

3.一応ユニットはきちんとあります。

4.というわけで各ユニットを取り外しました。

5.おそらく底面にしていたであろう部分です。キズだらけです。。。

6.角もこのとおり。突き板がはがれ、先端はつぶれてしまっています。直せるでしょうか?

7.天板としていた面です。なのに、、、キズはたくさんあります。

8.こちらも天板としていた面です。こちらの角もつぶれています。

9.これは深い!!さすがにこれは消せないかも知れません。でも目立たなくできれば。。。

10.こちらは逆側の底面。いわずもがな、です。

11.この角は突板が完全になくなっています。


作業前の外観をご覧いただきました。1960年代のスピーカー(ひょっとするともっと前?)ですので年数もあると思いますがかなりの損傷です。できる限りきれいにしたいと思います。

 

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2ウーハーユニット『LE10A』 レストア作業

1.エッジは貼ってあります。が、、純正ではないようです。

2.本来であればエッジの外側に設置される『パッキン』がありません。エッジを貼り替えたときにはずしたのでしょうか?

3.裏側です。磁気回路は比較的きれいです。

4.エンブレムもなかなかきれいです。

5.コーン紙を剥離しました。古いユニットですが磁気回路はかなりきれいですね。環境が良かった証拠でしょう。

6.コーン紙の裏側です。エッジの貼り付け部分に白いものが見えますが、これはかつてのランサロイエッジです。接着剤の跡がやや気になりますね。

7.アップにするとこのとおり。あまり上手とは。。。いえないかも知れません。

8.でも磁気回路はこのとおりのきれいさを誇ります。うっすらと酸化物はありますが、JBLのユニットにしては格段にきれいな固体です。

9.フランジと磁気回路も分離しました。できる箇所はとことん分解します。

10.フランジの拡大写真。やはりきれいです。

11.でも!!フランジに傷がありました。しかもかなり深い傷です。さすがにこれは消せないと思います。なんとか目立たなくなればよいのですが。

12.とりあえず両方ともはずしました。ちなみに右端に移っているのはツィーター『LE20-1』の磁気回路です。同時進行中です。

13.ユニットのターミナルです。こちらもやはりきれい!!

14.でもさすがにビスは酸化しています。しかも。。。なぜか長さが違ったり。まあ、JBLのスピーカーは日常茶飯事ですけど。

15.ターミナルをクリーニングしました。今回はもとが良かったのでなかなかわかりにくいですが、それでも輝きが増したように見えますよね?ありがとうございます(笑)

16.ラグもこのとおり。きれいになりました。

17.フランジ、磁気回路、ターミナルを元通りに組みたてました。

18.ちょっと遠くてわかりにくいですが、フランジも磨きました。ちょっとしたキズ、酸化などきれいになります。

19.こうしてみると何なのかわかりませんね?

20.JBL純正パーツです。LE10A用リコーンキット。ボイスコイル、エッジまで一体型です。

21.きれいですね。かつては『ランサロイ』という材質のエッジだったのですが、現在は入手困難なため、JBL純正品もウレタンに変更されています。

22.センターキャップももちろん同梱されています。

23.というわけでコーン紙を貼りました。当初ついていなかったパッキンも純正の新品を取り付けています。

24.このとおり、左右両方とも完成です。セメントコーンの白が映えます。

25.横から見てもこのとおり。

26.ウーハーのレストア作業が完了です。

他社製のエッジに交換されていましたのでちょっと不安でしたが磁気回路内部もきれいで、かなり良い環境で使用されていたことが伺えました。コーンも新品になりましたので、見た目もさることながら音質も楽しみです。

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3パッシブラジエター『PR10』 レストア作業

1.『L77』の代名詞、ドロンコーン(パッシブラジエター)です。裏側から見るとなんとも不思議な形をしていますね?

2.センターのビス止めされたものはウエイトです。ご存知の方も多いと思いますが、箱の容積などでこのウエイトの質量を変えます。

3.コーン紙はウーハーとほぼ同等の状態です。やはりエッジは他社製のウレタンエッジに貼り替えられています。

4.ウエイトがあるためこのようにおくと不安定です。

5.ウレタンエッジを貼り付けている接着剤が、どうやら木工用の接着剤のようです。接着剤自体は問題ないと思いますが、ところどころ隙間ができている点が残念ですね。

6.フランジです。やはり研磨します。ちなみに、『LE10A』のフランジとまったく同じもののようです。ターミナル取付け穴もありますし、、、

7.フランジの裏側です。汚れはありますね。

8.はずしたコーン紙です。ダンパーが面白い形をしています。

9.こちら、前述したウエイトです。この枚数で調整するそうです。

10.こちらが純正の交換部品。ダンパーの形はいつもの形です。どんな理由があるのでしょうか?今となっては謎ですが。。。

11.表側です。やはりセメントの白さが映えますね。。。

12.貼り替えました。

13.ちなみに交換パーツにはウエイトはついてきませんので、もともと取り付けてあったウエイトを取り付けます。

14.フランジもきれいになって、このとおり。パッシブラジエターの完成です。

パッシブラジエター『PR10』の作業が完了しました。センターキャップのせいで、一見して『LE10A』と『PR10』の区別がつかず、撮影した画像がこんがらがってしまいました。そこが一番苦労しました。

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4ツィーター『LE20-1』レストア作業

1.コーン型ツィーター『LE20-1』です。センターキャップがつぶれています。

2.裏から。こちら側はそれほどでもないのですが、、、

3.もう一方です。赤錆がすごいですね〜。

4.音に影響はないのですが、、、やはりできるかぎり除去します。

5.こちら側のセンターキャップも、よりいっそうつぶれていますね。ちなみに外周に貼っているテープのようなものは私の先輩が貼った物です。これ以上キャップが加圧されないようダンボールが貼り付けてありました。

6.磁気回路の外観、できる限りサビを除去しました。右側の固体はまだ赤っぽいですが、これ以上は無理でした。あしからず。

7.ちなみに磁気回路のギャップ側はこんな感じでした。センターポールはちょっと赤錆が目立ちますが、外側から比べるとそれほどひどくも無いですね。

8.コーン紙側です。茶色に見える丸いわっかは磁気回路との間に挟まるガスケットです。大きさに比して思ったより太いモール線が印象的です。

9.磁気回路の表側。きれいになりました。

10.実はこの『LE20-1』はリコーンキットが入手できません。今回はセンターキャップだけ貼り替えました。ちょっと色が違いますが、まあご愛嬌ということで!

11.音の調整もしっかり行いようやく完成です。ちなみに、肝心な音の調整に約3日間かかってしまいました。。。このユニット、結構大変です。

12.とはいえようやく完成です。

コーンツィーター『LE20-1』のレストア作業が完了です。
文中でもお話しましたが、こちらのユニット、すでにリコーンキットの製造が終了しています。そのためコーン紙がだめになってしまうとどうにも直せません。お使いの方は大切に使ってあげてください。

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5ネットワーク『LX4-1、2』レストア作業

1.びっくりしたことに、左右で型式の異なるネットワークが組みつけてありました。

2.こちらは『LX4-1』、もう一方は『LX4-2』。どうも『-2』は、『-1』のマイナーアップモデルのようでした。

3.とりあえずこれ、裏側です。

4.こちらが『LX4-2』。見た目は全く同じなのですが。。。中身は如何?

5.あけてみました。こちらが『-1』。
抵抗、コイル、コンデンサがそれぞれ2個ずつ。スイッチも結構巨大なものがついています。

6.ところが!!こちら『-2』。コンデンサ、コイルが一個ずつ、抵抗は2個でしたが、スイッチもずいぶんとこじんまりしています。。。

7.とりあえず中身をはずして見ました。このとおり、まるで別物ですね!なによりスイッチが!!大きい。どちらかに構成をあわせることがベストだと思いいろいろと検討しました。。

8.やはり最大の問題はコイル!!この時代のこのコイル、入手がかなり困難です。そうそう悪くなるものでもないし。。。ということで、やはりパーツ構成の少ない『-2』にあわせることにしました。コイル、コンデンサともに数値が異なっていましたので、『-1』のパーツは全て交換、ということになります。

9.抵抗は足の酸化が激しいため新品の部品に交換します。そしてスイッチ。

10.このスイッチ、なんとJBL純正のスイッチです。LX5なんかに使用されているもので、今回は贅沢にこの高級スイッチを使用することに!こんな見た目ですが新品ですよ。

11.『-2』のコンデンサは容量抜けも無く状態が良かったのでそのまま使うことにし、同一容量の、できれば同一ブランドのコンデンサがないかな〜、と一生懸命探しました!!

12.と、あるではありませんか?当社の倉庫の奥深くに!!
JBLの何かのネットワークからはずした古いタイプのコンデンサが全く同一の部品で、しかもやはり容量もぴったりでした。

13.というわけで、当社の知恵と在庫をふんだんにつぎ込み、こんな感じに仕上がりました。

14.それから、ターミナル。それほど状態は悪くなかったのですがやはり丁寧にクリーニングを行いました。

15.お決まりのターミナルビス。右2本が新品、左が中古です。そんなに悪くもないですね。

16.こちら、きれいになったターミナルです。新品が手に入りませんので大切にしなければなりません。

というわけで、とても苦労して頭を悩ませたネットワークが完成です。
残念なことに完成した画像を撮影し忘れてしまいました。ごめんなさい。
とはいえ、できるだけJBLの純正を損なわないよう、それでいて左右のバランスをできるだけそろえるよう作業を行いました。いよいよ完成も近いです!!

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完成『L77』

1.エンクロージャーも仕上げ、ようやく完成です。画像は撮っていませんが全体的に素地調整し、カケ部分はパテで補修し、オイルで仕上げました。

2.ユニットもこのとおり、きれいに仕上がり、見違えるようです。

3.ネットは残念ながら同じ生地が手に入りませんので、できる限りのクリーニングを行い裏側のハガレも補修しました。

4.横置きが正しいようなので、このとおり、横置きに設置し鳴らしこみました。

5.やはり名器の多いJBLのパッシブラジエター方式システム、こじんまりしてますが、やはりすばらしい音楽を奏でてくれます。

6.最後に、縦置きで一枚。やはり横置きに比べ気持ちが落ち着くのは私だけでしょうか?

長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。かなり古い機種ですし、珍しい構成でもあり、とても楽しく作業ができました。
オリンパスをはじめJBLのパッシブラジエター方式のスピーカーシステムはすばらしいものが多く、その音楽も期待していましたがやはり期待を裏切らないすばらしいスピーカーでした。 ホーン型のユニットとはまた味の異なる、コーン型ツィーターの音色とあいまって、とても気持ちの良い音楽を聴かせてくれます。ありがとうございました。

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