Audiolab Used Restore

フルレストアの記録 『JBL Professional 4343』の場合 その1

 

2008年6月、JBL『4343』の作業を開始しました。グレー塗装のモデルです。今回はエンクロージャーの塗装がかなり痛んでいますので初めて全塗装にチャレンジします。うまくいくでしょうか?ちなみに、実はこのシステムは、2ヶ月ほど前にウーハーとミッドバスの修理を当店で行ったものです。修理の段階で買取りとなったのでいっそのことほかの場所もレストアすることにしました。それでは、ごゆっくりご覧ください。

 
 
1作業前のエンクロージャー外観

1.作業前です。とはいえユニットなどはすべて外れています。4343は前面バッフルが写真のように外れます。これをはずす作業が非常に大変!!工具がないと無理だと思います。

2.このようにかなり痛んでいます。これは何かがぶつかったのでしょうか?

3.前面バッフルの付け根に大きなえぐれがありました。目立たないよう塗装しているようでですが隠せていないですね。なんとか直したいです。

4.はがれかけていた部分もちょっとした力で剥がれ落ちました。かなりの痛手ですね。

5.もう一方のエンクロージャーもこのとおり。なんとかします。

6.バッフル側はこのとおり。ミッドバスは別部屋に仕切られ完全に密閉されています。エンクロージャーと違って、痛みはないようです。一安心。


今回は全塗装!と気合が入ります。音質はもちろんですが、できるだけ外観もきれいに、こだわって作業をしようと思います。
 
 
ウーハーユニット『2231A』のレストア(確認)

1.当店で修理が完了しています。見てのとおりコーン紙は非常にきれい。もちろんメーカー純正の新品パーツにて貼り替えていますので!4343のウーハーはコーン紙の自重が大きいためどうしてもダンパーがダレてしまいます。やはり長い目で考えるとリコーンが賢明ですね。

2.このとおり、新品パーツはダンパーがピーンとしています。この位置がボイスコイルの位置を決定するので非常に重要です。

3.フランジもきれいです。再塗装の必要はないようですね。

4.動作チェックを入念に行いウーハーの作業は完了です。


ウーハーの作業はすべて完了です。できれば画像をとりながら作業ができればよかったのですが、こんかいはしょうがないですね。とはいえ作業内容はいつもどおり、妥協なく行っています。万全ですのでご安心を。
 
 
3ミッドバスユニット『2121』のレストア(確認)

1.こちらもオーバーホール、エッジ貼り替え済みです。このとおり。コーンは元のままですが、とてもきれいで、ウーハーと見比べてもそん色ないですね。

2.ただフランジの酸化が気になりますね。画像ではあまりよく見えませんが目立ちます。通常の修理ではフランジまでは研磨しませんので。(ご希望の場合は別料金で承ります)

3.というわけでいったんコーン紙を剥離しました。エッジがあると作業が非常に難しいので、コーン紙、エッジははずした状態で作業を行います。

4.オーバーホール済みですので問題ないですね。きれいです。

5.フランジも研磨しました。このとおりです。

6.あらためてエッジを貼り動作調整です。実はこのエッジをきれいに貼れるようになるまではかなりの年月がかかります。私はできません(ヘタですので)

7.コーン紙の裏側をみると作業した人間の実力がわかります。私などなれていない人間が作業をするとかなり汚くなってしまいます。

8.本当はチェックのみのつもりが、、、『2121』も作業完了です。


『2121』の作業が完了です。
オーバーホール済み、エッジ交換済みでしたが、やはり見た目を意識して、フランジの研磨のためにいったんはがしました。
とはいえ、とてもきれいになったので気持ちがいいですね。
 
 
コンプレッションドライバーユニット『2420+2307』のレストア

1.作業前です。背景が散らかっていて申し訳ございません。ホーン内部も塗装の剥がれが目立ちます。

2.ダイヤフラムカバーの取付ビスに封印がしてあります。これは今まで開けたことがないのかもしれません。


3.このとおり赤い蝋が流し込んであります。もし作業をしていないのであればかなり酸化していると思います。


4.蝋を取り除きようやくカバーが外れました。磁気回路の酸化はそれほどでもないですね。ただ吸音材のウレタンはぼろぼろです。

5.ダイヤフラムのオーバーホールが完了です。防錆剤の塗布も行いました。

6.ギャップ部分も綺麗になりました。

7.ダイヤフラムの取付ビスです。とても酸化していますね。交換します。

8.接点ビスもとてつもなく酸化しています。

9.ラグも酸化ではないですが、汚れが見られます。音の出入り口ですので綺麗にしましょう。

10.交換ビスです。左が交換用の新品、もちろん右は交換前です。

11.全てのビスを交換しました。とても綺麗になりました。気持ちがいいですね。

12.動作調整を行い、念入りに調整して作業完了です。JBLのドライバーの音がよみがえりました。

13.次はホーン部分の作業をします。

14.内部の塗装が剥がれています。表面の凹凸が多少なりとも音に影響することも考えられますので素地調整し、再塗装します。

15.再塗装後です。

16.綺麗になりました。

17.2本とも作業完了です。

18.ホーンとドライバーを組み立てます。あと一息です。

19.ちなみ、この取付ボルトも新品に交換しています。

20.ようやく全工程が完了です。


コンプレッションドライバーが組みあがりました。あとはスーパーツィーターを残すのみです。ようやく完成の時が見えてきました。
 

TOP  AudioShop   スピーカー修理工房  スピーカー修理事例  お問い合わせ  

 
スーパーツィーター『2405』のレストア

1.作業前です。磁気回路部分の酸化がひどいです。粉末状になっています。

2.正面の塗装も剥がれていますね。


3.このアルミプレートを剥がすとディフューザーの取付ビスが出てきます。


4.というわけで分解作業が完了です。ドライバーもそうでしたが、磁気回路内部の酸化は比較的軽微です。

5.こちらがダイヤフラムです。年代によって、青、金、銀など様々なダイヤフラムがあります。

6.ギャップ内も目立つ異物などないようでした。



7.磁気回路のオーバーホールが完了です。画像をとり忘れてしまいましたがターミナルのクリーニング、取り付けビスの交換も行っています。

8.フランジ、ディフューザーの再塗装も行いました。

9.組み付け、動作調整を行い、入念な動作チェックを行い作業完了です。

10.アルミプレートも元通りに貼り付けて完成です。


最後のユニット『2405』が完成しました。次は一番大変なネットワークです。
 
 
アテネーター+クロスオーバーネットワーク『3143』のレストア

1.JBLのUSED品販売の場合、アッテネーターは全て新品に交換します。経年により必ず酸化が起こり、ガリ、接触不良の原因となりますので、のちのちの安心の為の必須作業ですね。

2.ビニールに包まれているのはバイワイヤ切替スイッチです。こちらは純正パーツがないため汎用のスイッチ

3.このとおり、切替スイッチは4343全ての音楽信号が通る交通の要衝なのですが、かなり酸化してしまう部分です。

4.アッテネーターも外観上は綺麗でも内部はかなり接触不良であることが多いです。時々でいいのでアッテネーターはぐりぐりいじっていただくと比較的よい状態で維持できますのでお試し下さい。

5.全てが勢ぞろいです。4WAYだけありネットワーク自体が巨大ですしアッテネーターも多く、ターミナルもたくさんある、、、ネットワークの作業は大仕事です。

6.まずは切替スイッチから。新品の部品はとても綺麗ですね。接点もこのとおり、きっとスムーズに電気も流れることでしょう。

7.ターミナルの接点ビスです。多少酸化がみられますね。勿論新品ビスに交換します。

8.外してみてびっくり。頭は綺麗でも内部はここまで酸化していました。ここは音楽信号が通過する部分ですので、やはり重要な部分です。

9.ターミナルです。こちらもそれほど悪くはないですが、やはり表面は酸化が見られますね。

10.クリーニングしました。もともとが良かったのでぴかぴかになりました。最近最も楽しい作業は、このターミナルのクリーニングですね。輝けば輝くほどうれしいと思ってしまいます。

11.外刃ワッシャーも丁寧にクリーニングしあとは組み立てるのみです。

12.ターミナルの受け側端子もクリーニングします。

13.こちらも綺麗になりました。

14.ターミナルの取り付けも完了です。

15.ターミナル部分の全作業が完了です。

16.面はこの通り。切替スイッチにツマミをつければ完璧です。

17.左右とも作業完了です。

18.とても大変でした。ようやく完了です。


ネットワークも完成です。ちなみに全く触れませんでしたがコンデンサ、抵抗など、ネットワーク本体の動作に関しては全く問題ありませんでした。クロスオーバー、音圧など、適正に動作していましたので交換部品はなしです。一安心。
 
 
エンクロージャーのレストア〜組み付け

1.フロントバッフルも再塗装します。でも傷などはないので綺麗に仕上がると思います。

2.こちらはネットワークを固定するためのビスです。音には影響ないですが、せっかくなので新品に交換します。

3.こちらはミッドバス『2121』を取り付けるビスです。こちらはもともと黒のビスを使用していましたが、銀色の新品に換えます。年代が後期になると銀色のビスになっているモデルもありますが、やはり銀のビスがピシってしますので。

4.ターミナル部分を取り付けるビスです。

5.こちらはツィーター『2405』の取付ビスです。これら黒いビスなどは錆取り後再塗装します。

6.ウーハーの固定金具です。これはアルミですので酸化はしにくいですが非常に強い力がかかりますので塗装がはがれてしまいます。こちらも再塗装します。

7.エンクロージャーの再塗装も行いました。一覧の準備を行いようやく組み付けです。

8.ネットワークの大きさが伺えます。

9.側面もずいぶんきれいになりましたね。

10.あとはウーハーを取り付けて完了です。あと一歩。

ようやく完成しました。やはり4WAYスピーカー、そして4343!!大きさ、重さ、存在感、全てにおいて一級品ですね。作業の難しさも一級ですし、、、

とはいえ、全作業が完了です。どんな音が出るか楽しみです。

 

 
4343 完成品

1.正面です。アッテネータープレートはまだつけていません。

2.再塗装した甲斐あって見た目は見違えるようになりました。


3.逆側もこのとおり。

4.大きなカケのあった部分です。パテで補修して何とかこのくらい、目立たなくなりました。

5.こちらもカドカケしていた箇所です。上から塗装したことで殆ど分からないです。

6.やはり塗装をすると違います。

7.アッテネータープレートも所定の位置に貼付け、本当に完了です。

8.ホーンも綺麗になり、新品(言いすぎですが)のようになりました。

大変長いことおつきあいいただき誠にありがとうございます。

ようやく作業完了です。『4343』はすでに何セットか作業を行っていますが、やはり時間の掛かるモデルです。ただ、完成した『4343』で聴くビックバンドジャズ(私のチェック用CDですが。。。)はこれまでの大変さをスカッと忘れさせてくれます。

ありがとうございました。

 

TOP  AudioShop   スピーカー修理工房  スピーカー修理事例  お問い合わせ