Audiolab Used Restore

 

2007年10月初旬。当店の商品『JBL 4343B』のご予約をいただきました。誠にありがとうございます。さっそくレストア作業にかかることにします。このスピーカーは4WAYということもあり、時間的、技術的になかなか大変な商品です。ただ、もともとの程度が良いのでやや安心です。今回は作業を行いながら少しずつアップしていければと思っています。

 
 

 

作業前のエンクロージャー外観


1.作業前です。前面バッフルは汚れが目立ちます。きれいな青に戻さなければなりません。


2.ミッドバスのフレームもかなりの酸化がみられます。取り付け向きがことなるのは前オーナーのこだわりかもしれません。
3.ウーハーをはずしました。強い力でバッフル面に貼りついてますのでなかなか大変です。
4.バッフルの上半分をはずしました。以前はずしたことがあるようで比較的楽にはずせました。4343の修理において、これがもっとも難作業かもしれません。

5.ユニットがすべてはずれました。


6.はずしたユニットたちです。ネットワークもはずれました。これからひとつひとつレストアしていきます。


全体的に本当にきれいだと思います。ウーハーなどはエッジも交換した跡があり、しばらくはこのまま使用できると思います。ただ、当店の中古商品の販売ポリシーにのっとり、すべてのユニットをオーバーホール、エッジもすべて新品に交換します。できるだけ長くベストな状態でご使用いただける商品を目指しますので。
 
 
ウーハーユニット『2231H』のレストア


1.作業前です。コーン紙もきれいでエッジもまだまだ現役で使えるくらいです。


2.横から見るとマグネット部分が黄色に変色しています。これは錆の一種です。おそらくダンパーの内部も同様の酸化が見られると思います。
3.フランジの塗装はかなり傷んでいます。アルミ自体が酸化して塗装が剥離しているようです。これは目立ちますので後で再塗装しましょう。
4.コーン紙が抜けました。エッジが劣化していないので結構苦労しました。


5.コーン紙の裏側です。


6.やはり内部は酸化が見られます。中心にある防塵のウレタンも劣化が進んでいました。


7.このようにちょっと触れると崩れてしまいます。ひどいときはこのウレタンのかけらがギャップに進入することもあります。


8.磁気回路からフランジをはずしました。


9.ターミナルを止める接点ビスも酸化が見られます。接触不良等、音に直結するので新品に交換します。



10.それぞれです。固着していたため一苦労でした。


11.オーバーホール完了後です。防錆剤も塗布済みです。

12.縁についていた酸化物もきれいにふき取りました。あとは元どおりに組みなおしていきます。

13.フランジの縁の部分を塗装しました。もともとの塗膜をきれいに落とし、ついでに酸化している部分も丁寧に研磨しました。その後塗装を行っています。滑らかに仕上がりました。
写真を撮り忘れてしまいましたが、このときに接点ビスの交換も行っています。

14.エッジを貼り終わったところです。見た目にもかかわってくるためもっとも難しい作業の一つです。

ウーハーの作業はすべて完了です。生まれ変わったようですね。あとは組み込まれるその日を待ちます。
 
 
ミッドバスユニット『2121H』のレストア


1.作業前です。フランジの酸化と接着剤の跡が気になります。また、エッジもウーハーに比べてずいぶん傷んでいます。


2.分離しました。右の写真とは逆側のユニットですがほぼ同じでした。

3.ウーハー同様防塵ウレタンが劣化しています。酸化はそれほどでもないですね。

4.やはりギャップ内部も黄色になっています。酸化です。


5.ミッドバスのコーン紙裏側です。


6.左のユニットのフレームの汚れが目立ちます。


7.磁気回路、フランジを分離しました。

8.中心の穴もかなり酸化しているようです。

9.これから酸化除去を行います。フランジもアルミの酸化および接着剤の跡が目立つため、きれいにしたいと思います。作業後の右写真と比べてください。


10.作業完了です。フランジ、磁気回路ともに防錆剤を塗布しています。


11.磁気回路のアップです。黒くて細いものはエッジの外周に設置されるパッキンです。このパッキンの接着剤を除去する作業もかなり根気の必要な作業です。

12.フランジと磁気回路をもとどおりに組み立てました。


13.接点ビスです。上が交換前、下左が交換部品です。

14.ビスの交換作業が完了です。

15.あとはコーン紙、エッジを貼るだけです。作業前と比べると金属部分の輝きが違います。当分は酸化をふせげるはずです。


16.コーン紙、エッジをはりました。見違えるようです。


17.フランジもきれいになりました。オリジナルでは削りだしそのままですが、外観の美しさを維持するため防錆剤を塗布しています。ほとんど気づかないくらいの薄さです。

 


ミッドウーハーの作業が完了です。ここまでくるとようやく完成が見えてきます。今回の4343Bはここまでのところ異常音などもなく、とてもいい子です。このまま順調にいけたらいいですね。
 
 
コンプレッションドライバーユニット『2420+2307』のレストア


1.作業前です。


2.中ほどにある金属部分が黄色に変色しています。見慣れたいつもの光景ですね。錆の一種です。


3.なぜかターミナルの向きが変です。緩んでいました。


4.磁気回路部分です。ダイヤフラム自体はきれいですが、取り付けのビス、接点のビスはひどい状態です。まあ、吸音用のウレタンがついてしまっていることも影響していますけれど。


5.やはりウレタンがなんともいえない模様になっています。触るとネバネバします。


6.ホーン部分です。


7.全体図です。

8.ダイヤフラムはこのような形です。非常に薄いのでかなり気を使います。


9.ウレタン材も新品に交換、接点ビスも新品です。もちろん接点のクリーニングは必須です。


10.ダイヤフラム側の接点ビスも交換しました。左が交換前、右が交換後です。酸化にウレタンの付着もあり、とても汚れていました。


11.磁気回路のオーバーホールが完了しました。見違えるようです。防錆処理も行いました。

12.ダイヤフラムを取り付けて完了です。ただ、片方がなかなかセンターがきまらずとても苦労しました。なんとか作業完了です。こんなときはひたすら根気ですね。

13.ホーン2307です。塗装のはがれが見られます。再塗装を行います。

14.ちょっとピンボケですがきれいになりました。


15.ホーンとドライバーを組み立てて作業完了です。結構苦労しました。


16.たてて眺めると堂々としたものです。さすがJBLといったところですね。


コンプレッションドライバーが組みあがりました。あとはスーパーツィーターを残すのみです。もうすぐ4343Bサウンドが聴けると思うとやる気が出てきます!!
 
 
スーパーツィーター『2405』のレストア


1.作業前です。ほかのユニットと比較してもっとも酸化が進行しているようです。粉末状になっています。


2.このとおり、表層部分は剥離しているほどです。


3.左右見事に同一の状態でした。


4.フランジも塗装はがれがみられます。


5.すべての部品をばらばらにしました。


6.磁気回路内部は外側ほどひどくはないようです。



7.酸化物の除去をした上で防錆加工を行います。接点ビスの交換、接点のクリーニングも行います。

8.フランジの再塗装も行いました。きれいになりました。

申し訳ありません。組みあがったユニットの完成写真を撮り忘れてしまいました。ユニットはすでにシステムに組み込んでしまいましたので、完成写真はシステムでご覧ください。
 

 

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クロスオーバーネットワーク『3143』のレストア


1.作業前です。事前のチェックでアッテネータも重度の酸化による接触不良がありました。すべてメーカー純正の新品へ交換することにします。


2.駆動モード切替スイッチです。接点が完全に黒ずんでいます。交換しなければいけません。ただ同じものが入手できませんので同等機能を持ったスイッチを調整して交換します。


3.ネットをかぶっていて中がよく見えないですが、取り付けられているプレートは酸化しているようです。とはいっても音には直接関係ありませんが、、、


4.SPターミナルが社外品へ変更されています。お客様の要望により今回はオリジナルのターミナルへ戻すことにします。


5.これは当社の貴重な在庫です。WBTのターミナルのため取り付け穴が広げられており、純正ターミナルが取り付けできません。かなり力がかかる部分ですので広がった穴を狭める方法は不安が残ります。そのため、同じ4343Bのベーク板を移植することにします。サイズはばっちり同じです。


6.スイッチ、接点ビスなど状況はほぼおなじですね。


7.ネットワークを測定器でチェックしました。その結果、ミッドバス、ツイーターに異常が認められました。原因はコンデンサ不良です。個数はなんと4個。すべて同一容量の新品へ交換します。


8.セメント抵抗も足の部分が完全に酸化しています。断線の可能性があるのでこれも交換します。


9.ちょっとピンボケですが、こちらの抵抗も足が腐食しています。抵抗不良は合計2個。片方だけ交換するとバランスが崩れる可能性がありますので左右両チャンネルとも同じものに交換します。


10.写真上が今回一番苦労したコンデンサです。サイズがこのとおりBIG!しかもケースの下の段に設置され、かつロウで固められているため取り除くことが大変難しいです。気合を入れます。


11.ネットワーク周辺で今回交換するパーツです。ここに接点ビスが加わります。なかなかの難作業です。ここまでコンデンサがだめになっていることもなかなか珍しいです。

12.下の段から不良コンデンサを取り除き代わりのコンデンサを収めました。実はこれだけの作業に半日を要しました。そもそもこの上の段の板がなかなか開いてくれません。配線を一つ一つはずしながら少しずつ開いていきます。

13.上の段のコンデンサ、抵抗も交換しました。ショートなどしているとアンプを壊してしまうこともありますので慎重にすべての配線をチェックします。

14.ようやく作業が完了しました。あとはネットをかぶせれば出来上がりです!

15.切り替えスイッチもこのとおり。ぴかぴかです。接点ビスも新品です。

16.アッテネータも新品へ交換しました。


17.これが不要になった部品たちです。右下の積み木のようなものがミッドバス用のコンデンサです。

 


ネットワークも完成です。あとはエンクロージャーをクリーニングして組み込みを行います。あと一息です!!
 
 
エンクロージャーのレストア〜組み付け


1.まずはネットから。汚れが目立つものの穴は開いていません。ただ、たるみが出始めていますのでいっそのこと新品へ交換します。



2.このとおり、汚れがとても目立ちます。


3.逆側です。ネットのエンブレムプレートの取付金具も紛失しています。


4.完成品はのちほど。


5.エンクロージャーです。


6.左写真の拡大図です。この打痕がとても気になります。えぐれも深いのでパテで補修します。また、全体的に表面がくすんでしまっていますので、素地調整のうえオイルで仕上げます。


7.これが作業完了後です。若干のシマが残っているのが残念です。でもこれ以上は突き板がなくなってしまいそうなため断念しました。傷も多少は目立たなくなったようです。


8.天板部分です。まだオイルが完全になじんでいませんが1週間くらいおくとある程度落ち着くようです。


9.別角度から。


10.いよいよ組み付けです。その前に取り付けビスをクリーニング・再塗装します。部品がある物は新品へ交換します。


11.このとおりほとんどのビスはさびてしまっています。

12.錆・塗膜を剥離し再塗装しました。下の銀色のビスは新品です。

13.ビスはすべて準備できました。さっそく組みつけていきます。ここからは一連の作業のため一気に最後まで行きます。

14.ネットワークを取り付けました。

15.一部吸音材がなくなっていましたので新たに足します。JBLは非常に細かいグラスウールを使用しているため同等のものを使用します。
ようやく完成です。あとは完成品をご覧ください。
 
 
4343B 完成品


1.まずはネットから。見違えるようです。



2.正面です。ちなみに最終チェックのため数日間エージングを行います。そのためアッテネータのつまみとプレートはまだ取り付けません。貼ってしまうと万一のときに取り外しが困難ですので。


3.でもプレートがないとまだしっくりきませんね。


4.ツィーターです。


5.エンクロージャーの側面です。光沢が強すぎるようですが、じきなじんでいきます。


6.エンクロージャーでもっとも気になった打痕です。だいぶ目立たないもののやはりわかりますね。もうちょっと目立たなくなるといいのですが。


7.ミッドウーハーです。フランジもなかなかの仕上がりだと思います。


8.あとは数日間念入りにエージングを行います。


9.そういえばターミナルの完成品を未掲載でした。


10.新品の輝きがすばらしいですね。


11.切り替えスイッチですが、オリジナルだとマイナスドライバーでまわすタイプですが入手できません。シャフトをまわすタイプになりますのでつまみをつけました。

12.丸3日間のエージング後再度チェックを行いました。問題なさそうです。アッテネータープレートおよびつまみも取り付けました。ようやく完成です。あとはお届けまでエージングを継続するのみです!

13.音響レンズをとめるマジックテープをタッカーで止めます。接着剤だとどうしても強度に問題が残りますので。。。レンズが落下してウーハーを突き破った、との話も聞きますので、しっかり補強します。

14.ホーンもきれいになりました。

15.音もとても良くなってきました。明日には旅立っていきます。こんなときはちょっと名残惜しくなったりもしますが、きっとかわいがってもらえると思います。

大変長いことおつきあいいただき誠にありがとうございます。

しかし、やはり4WAY!ですね。なかなか時間を要する作業でした。ですが、不良部分、気になる部分など、すべてにおいてチェック修正ができました。長くベストな状態を維持できるはずです。

 

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